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「飛葉はさぁ、まだ俺のこと『様』付きで呼ぶの?」
不意に問われて、僕は戸惑う。
延佑様は甲板の手すりに頬杖をついて、僕を仰ぎ見た。
「いいんだぜ?もう呼び捨てにしたって。敬語もやめにしてさ」
言われて僕は少し困った。
確かに自分たちは主従関係を解消して、もう数年になる。
今や対等な立場なのに、まだ『様』付けなのは、おかしいことなのかもしれない。
けれど。
「小さい頃から『延佑様』とお呼びしてるのに、今更変えろと言われても・・・」
もうずっと、長い間彼に仕えてきたのだ。呼び捨てにするのは、違和感というよりも抵抗の方が強かった。
ふうん、と呟いて延佑様は海に目を向けるが、再びこちらを振り向いた。
「じゃあ、いっそのこと『ご主人様』って言ってみるとか?」
――突然議題が別方向へ飛んだ。
僕は小さく呻いて頭を抱える。
「どうしてそうなるんですか…」
対する彼は酷く楽しそうに笑っている。
「だって、俺に対する敬語がやめらんないっていうんなら、呼び方変えてみたらどうかなぁと思ってさ」
「だからって、どうして『ご主人様』なんですか」
「ちょっと可愛くメイドっぽく?」
僕は一気に脱力した。
側で一連のやり取りを見ていたロージーが呆れ顔で言う。
「おめーらは、呼び方一つでよくもまぁ盛り上がれるもんだな」
それを聞いた延佑様が片眉を上げて言う。
「だって重要だろ?呼び方って」
たった一言で、相手のことを端的に表すから。
珍しく少し真面目な彼に小さく笑って、僕は言う。
「どんな呼び方をしても、僕にとって延佑様はずっと、大切な『ご主人様』ですよ」
2011/09/15 創作物 Trackback() Comment(0)
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